12歳の少年、画期的な3次元型太陽電池を考案:紫外線も吸収可能

http://wiredvision.jp/news/200809/2008091922.html
"A Highly-Efficient 3-Dimensional Nanotube Solar Cell for Visible and UV Light" 英文タイトルだとこうでしょうか?
イデアが書いてないので、素人ながら素直に想像してみます。
まず、太陽電池の動作原理としては、半導体のバンドギャップを超える光子エネルギーを得たときに、エネルギーを吸収して、電流が流れるというもの。
通常の太陽電池では、バンドギャップが可視光領域に合わせられています*1ので、光子エネルギーの大きな紫外領域の光は、バンドギャップより大きな分が発電には寄与せず、エネルギーの損失が大きくなります。
そこで、紫外領域に合わせた広いバンドギャップのもので太陽電池を作ると、紫外領域は効率よく吸収される一方、可視光領域は吸収されずすり抜けます。すり抜けた可視光は、(多層構造にして)既存の太陽電池で吸収すれば問題有りません。
バンドギャップに合わせて何層作るか知らないですが、こういう部分が3次元型なのでしょう。
また、ナノチューブは適切なバンドギャップの半導体を作るのに使用していると思われます。
しかし、ここまでのアイデアだったら画期的でもなんでもなくていくらでもある*2ので、こんな基本的じゃない、細かい部分が議論すべきポイント(ナノチューブ部分・多層構造の構築部分)なのだと思われます*3



記事では紫外線ってわざわざ言ってますが、個人的には紫外線を効率よく吸収する構造のメリットが、(いくら効率が良くても)コストに見合う日が来るのか少し疑問です。スペクトル分布で紫外光領域をみると、大きくはないので、完全吸収したところでたかがしれてるような・・・*4
多層構造でコストを気にしないでよいものが作れるなら広いバンドギャップでも狭いバンドギャップでもがんがんやってください。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%BB%E5%83%8F:SunLightSpectrum-280-2500nm-J.PNG

*1:材料であるSiの物性的に1.1eVという値になっている。太陽光のスペクトル分布を考慮し、単層で理想的な動作を仮定すると、バンドギャップは1.35eVがベストになるが、1.1eVでもピークに近い

*2:ちょっとググったらあった

*3:もしくは全く別の話、Siを使わない、コストが下がる話など

*4:層が少ないなら、無理して紫外まで伸ばさない方が効率良さそう